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「指☆フレ」

第8章 バレンタインデー編

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もうボクはここでの出勤は無いし、数日後にはここを立ち去ってしまう人間だ

いま車の中で話している時間が終われば、たぶんボクらはもう一生会うことも無いだろうな

転勤族なんてこんなもんだ

1時間ぐらい話し込んでいたらボクのお腹がグウと鳴りだした

あたりはすっかり夜だ

「スーパーで惣菜でも買ってこようかなぁ」

「もう調理器具とかは梱包しちゃったの?」

「うん、なんかテキトーにパックものでも買って帰るよ」

R子ちゃんは少し黙ってしまって、ボクも何となく黙ってしまった

もう最後の時間なんだな

ボクは少し経ってから車を降りようとしたら、R子ちゃんが口を開いた

「最後の晩餐が独りなんて淋しいですね!今日は私も付き合ってあげますよ」

R子ちゃんも名残惜しいんだな

なんとなくボクらは別離の時間を先延ばしにしたかったんだな・・・


いつもならそのままどこかに外食に行くところなんだけど、この日はふたりでスーパーに入って惣菜をアレコレ選んで、楽しい買い物をしていた

レジを済ませてパックをビニール袋に詰めてるとき、R子ちゃんが

「なんか同棲してるみたいですねぇ~」

自分で言っといてR子ちゃんはハッとして顔を真っ赤にしてた

「おいおい、相手が違うだろ~!」

スーパーを出て、R子ちゃんの車はそのままスーパーに停めさせてもらって、ボクらは歩いてアパートに歩いた

そういえば、いつもみんなでお食事会に行くことはあっても、アパートに人を呼んだことは無かったな

歩いてるとき、話をしながら笑っていたR子ちゃんだったけど、部屋に入ってから突然泣き出してしまった

えっ!?

突然の感情の振り幅にボクは戸惑ってしまった


どうやら部屋に積み上げられた段ボール箱を見て、引っ越しの実感が湧いてきたようだ

他人のカノジョになってしまったR子ちゃんを抱き締めてあげることも出来ず、ボクは泣き止むまで待つしかなかった

「・・・・あぁ・・・ゴメンなさぃ・・・・急に・・・キチャイマシタ・・・・」

「ありがとうな、ボクも楽しかったよ、ここに転勤してきて良かった」

「私こそっ!いろいろ教えてもらって・・・」


ボクたちは交際こそしなかったけど、親友のような、兄妹のような、なんとなく身近な存在だったんだなぁ

お別れの最後の夜に、あらためて実感したわけです

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