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「指☆フレ」

第6章 アパート編

(PART-27)

ある夏の日…

その日休みだったボクは不要な本をまとめ古本屋に向かおうとアパートの階段を下りていった

するとエントランスに例の母親がしゃがみこんでいた

…?

ロングの髪で表情はわからないけど、何か我慢してるようだ

どうしよう…?

まぁスルーでもいいんだけど…

「大丈夫ですか?」

つい声をかけてしまった

どうやらゴミ出しにクロックスを履いて出たらガラスの小さな破片が入ってしまったらしい

階段に腰かけてもらいサンダルを脱いでもらうと、けっこうざっくり数カ所切れていた

きっと切れたあと違和感ありながらも歩いてたんだろうなぁ

かすり傷ぐらいだったら絆創膏で簡単なんだけど、くぱっと広がった傷を見ちゃうとさすがにほっとけないよね…

一旦ボクは部屋に戻ってタオル、ハンカチ、空のペットボトルに水を入れて再びエントランスへ

バシャバシャと足に水をかけて血を洗い流し、タオルで拭いてからハンカチを巻いてあげた

母親は苦悶の表情はしていたが声はこらえていた

「…すいません」

「立てますか?」
片腕で支えてあげたけど、痛みでまた座りこんでしまった…

本来なら格好よくボクが背負って階段をのぼり、部屋まで送ってあげたらいいんでしょうけど、残念ながら運動不足で体力もない非力なもんで…

ええ、ええ
肩を貸してあげただけですよ!!

親子はうちの上の3階だった
子どもは保育園だかに行ってるようで不在

玄関まで送ってあげたけど、さすがに上がり込む気は無いのでさっさと退散した

部屋番号と名前も訊かれたけど、非力で申し訳なかったので笑ってごまかして伝えなかった

ボーイスカウト経験もサバイバル経験も無いからハンカチ巻いたのも適当に包んで結んだだけだったし

ここでさっと応急処置でも出来たら良かったんだけど、何もかも中途半端だったな…

逆にこっちが恥ずかしいぐらいだよ…

それは午前中だったんだけど、駅前の古本屋でだらだら立ち読みする休日を終わらせ帰宅する途中、保育園の送迎バスと出くわした

けっこうアパートの近くまで来るなんて知らなかった

そこに片足を引きずった母親と花壇に昇ってふざけている男の子を見かけた

ボクの車は彼らを通り過ぎて裏手の駐車場にまわり、エントランスに向かった

エントランスにはさっきの親子が立っていた…

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