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私は官能小説作家の素材

第7章 壁と壁

「逃げんの?」


そう言ってくるのはいつもの逢田くんではなかった。



「やめて…」

下を向いて、唇を奪われないようにする。だが、また顎をくっと上げられて目と目が合ってしまった。


「真菜、作家の彼奴と付き合ってんの?」



そう言われると違う。

両思いのような…片思いのような曖昧な関係。



「好きだけど…」

「好きなのは確か…か」



どこか悲しげに見つめる目が少しだけ綾葉とかぶってしまった。なんでだろうか。



「あーぁ…計画ぶっ壊し。つまんね」



―――はい?

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