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私は官能小説作家の素材

第7章 壁と壁

手首を掴まれて、帰るのを止めた。逃げたくとも、固く握られた彼の手が話そうとはしない。


「何…?」

「…ちょっとまって」


逢田くんは、私の目を見ずに切り捨てるように言った。

その言葉に恐怖を覚えて立ちすくむしかなかった。



そのあと、会計を済ましたが手は一向に話してくれる予感もしなかった。
そして、外へと出るとよくわからない路地裏へと歩かされた。


「ねぇ…なんのつもり…?」


何も答えてもくれなかった。逢田くんの後ろ姿しか見えず表情もわからない。


少しずつ暗くなる路地裏。
物音さえも消えてきた。








「ここでいっか…」



突然止まった。


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