
アクマにアソコを貸しました
第10章 イカ?いいえ、津島です
萌々ちゃんが吹っ飛んで近くからいなくなった途端、地面から幾つもの影がにょきにょきと伸びてきた。
いつぞや水族館で見たチンアナゴみたーい!とは、この緊迫感ではちょっと言えないけど。
音もなく伸びてきたと思ったら、グワッと勢いよく薄く広がり、縦横に拡大した影のシート?同士がくっつきあってドーム状を成していた。
薄闇色のドームの中に閉じ込められたのは私と京紫と真赭、それに桐原さん。因みに萌々ちゃんはドームの外、少し離れた地面に倒れたままだ。
真赭は無言で深い裂傷を負っている右手を見つめると、まるで滴(しずく)でも払うように手を一振りした。ちょっと、そんな勢いで振ったら千切れちゃうってー!という私の心配をよそに、彼は振ったその手で髪をかきあげた。
右手には先程までの傷の名残もない。
「心配かけてごめんね。だけど俺も京紫も人間の刃物で傷なんかつかないよ。血も出てなかったでしょ?」
女の子の全力の攻撃に少し位はノッてあげた方がいいかなと思ってさ。そう言った真赭の瞳は愉しげに赭(あか)く光っていた。
いつぞや水族館で見たチンアナゴみたーい!とは、この緊迫感ではちょっと言えないけど。
音もなく伸びてきたと思ったら、グワッと勢いよく薄く広がり、縦横に拡大した影のシート?同士がくっつきあってドーム状を成していた。
薄闇色のドームの中に閉じ込められたのは私と京紫と真赭、それに桐原さん。因みに萌々ちゃんはドームの外、少し離れた地面に倒れたままだ。
真赭は無言で深い裂傷を負っている右手を見つめると、まるで滴(しずく)でも払うように手を一振りした。ちょっと、そんな勢いで振ったら千切れちゃうってー!という私の心配をよそに、彼は振ったその手で髪をかきあげた。
右手には先程までの傷の名残もない。
「心配かけてごめんね。だけど俺も京紫も人間の刃物で傷なんかつかないよ。血も出てなかったでしょ?」
女の子の全力の攻撃に少し位はノッてあげた方がいいかなと思ってさ。そう言った真赭の瞳は愉しげに赭(あか)く光っていた。
