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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「萌々ちゃん、状況分かってる!?とにかくここを離れなきゃ危な…」
「ダメっ!ダメです、行かないで!」――私が彼女になるんです。

呟いた彼女がお腹の辺りで組んだ両手がぶるぶる震えて光っていた。瞳に迷いが浮かんでは消える、その手にはナイフ。

嘘ぉーん!なんで私!?
「萌々ちゃん、落ち着こう。そんな危ない事しても誰も喜ばないよ?」


「俺のためにそこまでしてくれるなんて、もうモモしか見えないよ。モモが俺のたった一人の彼女だよ」

喜ぶやつここに居たぁ、て言うかてめーは黙ってろ、局部もげ落ちてろ!

「ごめんなさいっ!!」

数歩の距離を勢いよく走って来た萌々ちゃんをスローモーションのように感じながらも為す術もなく突っ立ったまま。
走る萌々ちゃんの足元、地面の砂が一歩進むごとに小さくファッっと舞い上がるのを見て彼女でも走るんだヒールの靴なのに、なんて場違いな事を考えていた。


――ドスッ!!

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