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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「あの、人違いじゃないですか。私ムシなんて知りませんよ」
イカなら知ってます、津島っていうんですよ。さて、じゃ!これで!と片手を上げて去ろうとしたのに。

「食事するって約束なんでしょう。約束は守らないと。

あー美味そう、久しぶりだ」

美味そう、ってこっち見ながら言わないで頂きたい。

「ね、気づいてないなら教えてあげるよ。
君の中にはムシが棲んでる。下等で弱くて食糧にしかならない存在、それが魔界における蟲というもの」

彼は満面の笑顔で下品さを垂れ流している。
なんか、とにかく、嫌な予感しかしないんだけど。

「君の事、食べちゃおうと思って。蟲は食糧、だから君も食糧。ね、分かってくれたよね。
あぁ心配しないで、残さずいただくからさ。肉は勿論髪も骨も目玉もぜーんぶ、上級魔族の一部にしてあげる」


ヤバい、こいつあらゆる角度からヤバい。食事をするっていってるけど、その“食事”が私なのか!?メインディッシュは わ・た・し とか言えばいいのか。シャレにならんわ!

「も…萌々ちゃん帰ろう、走るよ」

そう言って彼女をちらりと見れば、やたら思いつめた顔をして小さく唇を動かした。
「行かないでください先輩」

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