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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

相談したいと言う割にはなかなか会話が盛り上がらないまま会社をでて歩いていた。

「えーと、萌々ちゃん何食べたい?」

この質問ももう3回目なのだが、他に会話がないのだから仕方ない。

「あ、そうですね。私は何でも…先輩は何がいいですか?」

「じゃあ〜和食かな」
私の答えもさっきから和食の一点張りである。
「和食いいですね!」
萌々ちゃんがニコリと微笑むのも3回目。痴呆老人同士か。でも次のセリフは初登場だった。

「私和食のいいお店知ってるんですよ!あっちなんで、この公園突っ切って行きましょう」

彼女が指差した先には都会の一角にしては、わりと広い公園がある。


「へぇー、ここ抜けたところにそんないいお店があるんだね」

こっち側って通り抜けられたっけ。そう思いながらも歩を進めた先には男の人が立っていた。
あ…さっきの、名前なんだっけ。き、き、き…
「桐原さんっ!」萌々ちゃんの糖分たっぷりな声に呼ばれて振り向いた桐原さんはイケメンの自覚あり、という笑みで応えた。そう、イケメン。なのに背中がゾッとする。爬虫類のような目付きにも、舌なめずりした口元にも。

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