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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

なんとなく気が重いままノロノロと着替えをしていたら、入り口の方からあれぇ?という若い子特有の高い声がした。

「萌々〜?お疲れぇ、何してんの?あ、もしかしてまた下にストーカーが居て時間潰してんの?」

萌々ちゃんのストーカー騒ぎは仲間内では有名なのか。

「うぅん、今日は違うんだぁ。人を待ってるの」

「そっか、今日は安心だね。もー、怖い顔してうつむいてるから心配したよ」

「あはは、ありがと」

幾分硬い声で、バイバイお疲れ様ーと見送った声がしたところで「萌々ちゃんお待たせ」と登場したら、彼女はハッとして勢いよく振り向いた。

表情は硬いままだが明らかにホッと息を吐いた。誰かと一緒に帰るというのはそんなに安心するものなのだろうか。かわいそうに。


後から考えればホッとしたのは私が一緒だからじゃなくて、私が逃げずに現れた事でホッとしたのだとわかる。私を待ってたなどと易しいものではなかったのだ、私を見張っていたのだから。

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