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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「ひっっ!!」
「……つーかまえたっ。キミ誰?どうしてここにいるの?」

角を曲がってすぐの所で盗み聞…、心配で様子を伺っていた私の腕が前触れもなくぐいっと引っ張られ、思わず声をあげた。たたらをふんで目の前に現れた私に二人分の視線が突き刺さる。

恥を忍んで目線を上げると「あなた確か…」
驚いた。社内のこんな場所で修羅場を演じていたのが、まさか彼女だったなんて。
「“萌々ちゃん”…?」

名前を呼ばれてビクリと身を震わせた事で金縛りが解けたようにサッと顔を背けた萌々ちゃん。
その反応を見て、嬉しそうに私と萌々ちゃんを交互に見ているキリハラ氏。

「へー、知り合い?へー、いいねェ」

いいねェって、一体何がいいというのか。

ニヤリと笑って萌々ちゃんに耳打ちすると、私の横をすり抜けて行った。すれ違いざま私の耳の横あたりに顔を近づけて来て、スンと匂いを嗅ぐと肩にポンと手を置き
「いいね」
と言い残して去っていった。

うぎゃー!いいね!はSNSにお願いします。ぞわぞわして囁かれた方の耳を擦る。

耳をゴシゴシしてると萌々ちゃんと目が合った。
「あ…ごめんね、違うの立ち聞きとかじゃなくて!たまたま通りかかったら、揉めてたみたいだったから心配で!」

全力の言い訳ってすればする程怪しいのにね…

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