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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「ほら、鞄を取って来い。帰るぞ」

まるで誤魔化すかのように頭を小突かれ促されて再び歩き出す。ふと視線をあげれば、ケィシは目を細めて萌々ちゃんの後ろ姿を見ていた。
もう一度言おう、後ろ姿を見ていた。

…なんかムカつく


ギュム
「!!!…ってぇ!脇腹をっ…あ、おい待て!」

脂肪の全くついていない脇腹を無理矢理捻り、鼻息荒くデスクへ戻る。

ドスドスと足音をたてて戻ってきた挙げ句「フンッ!」と鼻息を吐くと同時に椅子に座った私に、津島は余裕と哀れみをミックスした顔をして私を見た。

「カグ…俺の萌々ちゃんの爪の垢でも飲んだら?そしたらとりあえず彼氏できるかもよ、あ、俺はダメだぞ」


“お前の”じゃない、一方通行だろう!しかも私だってアンタは眼中にないからーーー!

私も大人だ、そんな事はあえて口に出さない。

手のひらに大人と3回書いて飲み込むと、鞄を持ってニッコリとしてやった。

「津島、貴重なご意見ありがとう。でも私には「こいつにはそんな必要はない。帰るぞ梓穏、早くしろ」


そう言って私の鞄を掴むとさっさとオフィスの出口へ向かう。

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