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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「ったく、ほっとけよ」
「むー!むむむー!」

口元を塞がれたまま引き摺られるように連行される。

「あっ、お、お疲れ様!」
背後から上擦った津島の声がした。

私の口元を押さえていたケィシの手元が緩み、その隙にバッと振り返る。ポエマー津島がカクカクと不自然な動作で右手を上げて、可愛い女の子にヘラヘラと笑いかけていた。

対する彼女はニコリと微笑み会釈して去って行く。津島とは違い彼女の表情には恋の“こ”の字も見つけられない。どうやら恋の矢印は一方通行のようだった。

「「あれが相手か…」」

呟いた私の声とケィシの声が重なった。もう、ケィシも気になってたんじゃないの!チラリと見上げると、珍しくバツが悪そうなケィシの表情とぶつかった。

「あ、いや違うからな」

…一体何が違うのか。

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