テキストサイズ

アクマにアソコを貸しました

第7章 その位、ちょっとヤンチャなだけじゃないですか

「梓穏っ」

呆然としていたところをケィシに引っ張られ、勢い余って胸に突っ込んだ。

「ダメ離して!マソォが!」

「よせ!危ない」

何いってんの!?マソォは“危ない”どころじゃ無い!

「マソォ、んぐッ!!」
鮮やかな模様の背中を丸めて動かないマソォ。悲鳴混じりに名を呼ぶと、ケィシの広い手のひらで口を塞がれた。


「馬鹿、今は真赭の名を呼んだりするな!あの女を刺激してどうする」

ボロボロと涙を流す私の耳に唇を寄せて囁いた。

「真赭なら傷一つ無い」

…………へ?

マソォを見ると、痛みに丸まっていると思っていた背中が小刻みに揺れていた。

「やっぱ中毒者はつまんねーな。
こっちの物では傷一つ付けられないって言ったよな?

理解力は無いわ、俺のモンに手ぇだそうとするわ」

そう言いながら、ゆっくりと体を起こした。
お腹の辺りに刺さったままのナイフの柄をむんずと掴み、力一杯真横に引いた。

ヒッ…!思わず息をのんで両手を口にあてた。

マソォのパックリと開いた傷口が…傷口…あれ?

切れたと思った場所は煙のように揺らいで、すぅ…っと元通りになった。

「……クソつまんねぇ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ