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アクマにアソコを貸しました

第7章 その位、ちょっとヤンチャなだけじゃないですか

「手伝いにきたよ、梓穏♪」

「ありがとう。課長が加藤君と探せって言ったくせに、早々に呼び戻すって何考えてんだろ」


ぷりぷりしながら資料を棚に戻す。…ぬ?一番上が届かない。


後ろに気配を感じて振り向く前に、私の手からファイルが取られて上の棚に入れられていく。

「ありがと…」

振り向くと、マソォの顔は直ぐ近くにあった。
僅か数センチを屈んで私の額に唇を付けた。

「実は、課長呼んでなかったのに、加藤を追い払っちゃった。

…だって、少しでも梓穏を独り占めしたかった。

ねぇ梓穏、苦しいんだ。魔界に帰らなくちゃいけないのに、決心がつかないよ。
ずっと帰りたかったのに」

そっと両腕で私を囲って顔を覗きこむ。

「困っちゃうね」

悲しげに眉毛を下げて微笑んだ。


帰るっていつ?とか
後輩に嘘ついちゃダメでしょ、
とか言おうと思ったのにマソォの顔をみたら切なくて何も言えなかった。
近づいた唇がそっと私のそれに触れた。


「じゃあ、ずっと居ればいいよ」

居ればいい、じゃなくて、居て欲しいの。今更離さないでよ。


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