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言ノ葉

第1章 生き続ける

えみは紫煙を燻らせながら軽くため息をついた。
目の前にはハンバーガーに噛り付く彼氏。
下品だな…
えみはまたため息をつく。
この人と付き合い始めてからなんだかため息が多くなった気がする。


えみの家族はこれみよがしに、自分に気付くように、よくため息をついていた。
えみはそれがたまらなく嫌いだった。
そんな自分がため息をついている。


「美味いよ。食わないの?」
「あ、うん。なんかあまりお腹空いてないから食べていいよ。」
「そう。じゃあ遠慮なく」

これから見に行く映画がよほど楽しみなのか、彼はご機嫌だ。
どうやら食も進むらしい。


「なんかさ、最近元気ないよな?ため息も多いみたいだし。なんかあった?」
中途半端な勘繰りはやめて欲しいな。
心地悪い。
「そう?そうでもないよ。」
勉強は順調だし、友人関係も良好。
不満があるとすれば貴方かな。
意識したわけではないが、彼と目を合わせたくないのか、えみはガラス越しに外を見た。

「おいおい、灰が落ちそうだぞ。」
はっとしてタバコを灰皿へ持って行き、慣れた手つきで火を消す。


「全く、意外だよな、見た目はタバコなんか絶対吸わなさそうなのに。おまけにヘビースモーカーときたもんだ。」
彼は口の中にまだハンバーガーが残っているにも関わらず、話続ける。

「まだ未成年だからやめろよ。なんてそんな事は言わないけどさ、あまり俺は好きじゃないんだよね。」

「嫌いなら別れたら?」

「簡単にそれ、言うよな。」
彼氏の顔が軽く曇った。
「俺は別れるつもりはないよ。お前の事好きだし、大事だから。」

「…そう。」

えみはバッグからタバコケースを取り出し、メンソールのタバコを口にくわえ、火をつけ、大きく吸い込んで、吐き出した。

「お前って本当さ…やな奴。」


えみは再び紫煙を燻らせながらため息をついた。

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