テキストサイズ

壱万円あげます

第1章 始まり

公園のブランコに座る

小さく漕いでみる

ギイギイと音をたてながらも

鉄の鎖は揺れ始めた

足を解すように動かす

汗を吹き飛ばしてしまえ

風よ

誰にも見られない風よ

今だけは私を癒してくれ

感傷に浸るまもなく

ホームレスが目の前を横切る

じっとこちらを見て

直立不動の姿勢を崩さない

ブランコはどんどん速くなる

かき消すんだ

さっきまでの記憶も

これから先のことも

全部全部シカトだ

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