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壱万円あげます

第1章 始まり

「お金、ここにおいとくね」

男は帰っていく

壱万円

私の値段

そっと財布にしまう

まだ足りない、全然

ホテルをあとにした

外はまだ暗い

時計を見ると三時だった

街は明るいのに静かだ

一歩ずつ踏みしめて歩く

よろけそうになり立ち止まる

後悔はなかった

それでも、足は震える

何回やってもなれない

自分を売る感覚

私は商品なんだ

文句は言えないんだ

大丈夫、大丈夫、大丈夫

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