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花火の秘密

第3章 すばるくんとの秘密

眠気を追っ払って二人を目で追いかけていればふと丸ちゃんと目があった。

「たつよし!おんねんやったら一緒に踊ろうや!!」

「そんな大声で呼ばんといて。」

うっとうしそうな俺の顔など気にも留めないでわざわざ輪の中から外れて俺のもとに走り寄ってきた。それにつられてすばるくんも同じように駆け寄ってくる。

「焼きそば!!ええなぁ!僕にもちょうだい?」

膝の上に置かれた焼きそばを見てまるちゃんはしゃがんで俺と目をあわせる。そして口をパカッと開けて見せる。

「……え?」

「…あーん。」

回りの目が気になるのと、それよりも気になるのが…

「まる。俺がしたろか?」

「ん?たつよしにしてもらう。」

すばるくんの目付きが明らかに怖い。

しかしそんなことに怯んでチャンスを逃してしまっては完全にすばるくんに負けてまう。

俺はふたを開けて箸を持てば少な目の一口をすくい出してそっと口へ運ぶ。

すっかり冷えきっているのに見るからに美味しそうに頬張っている。

「うまいやん!こんなん残すん?んなら僕食べてええですか?」

俺のとなりに座ってひょいっと焼きそばを取る。

座った距離がどう考えても近い。太ももが引っ付いている。

「…ま、まるちゃん、盆踊り…は?」

「お腹すいたし、休憩。たつよし、箸借りんで?」

今まででもこんなことはたまにあった。でもそれはメンバー全員の前か、二人っきりの時。すばるくんの前で堂々とされるとなんだか歯がゆくなる。

それと同時に微かに感じる優越感。

「お、俺たこ焼買ってくるけど大倉ついてきぃや!!」

まるちゃんが動き無さそうだと判断したのか引きはなそうとしたのか、俺の腕をつかんで強引に引っ張っていこうとする。

このちょっとしかない優越感が俺をベンチから立たせなかった。

「俺、お腹いっぱいやからええよ。すばるくん1人で行ってき?」

「運動せな、太りやすい体質やねんから。」

「食べる量減らしたもん。俺、お腹いっぱやし、仮眠しとこっかなぁ。」

俺が拒めば拒むほど焦りを見せるすばるくんが面白くて俺はひたすら食べているまるちゃんの肩の上に頭を乗せた。

以外にもまるちゃんはちらっと俺を見ただけでなにも気にせず食べ続けている。

もしかしたら急に女神様が俺を見初めてくれたのかもしれない。

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