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花火の秘密

第2章 りんご飴の秘密

ようやくのことで戻ってくるとかごには残り一発の玉が残っていた。

「倒せたか?」

俺の声に帰ってきたのはだんまりというわかりやすい回答だった。

「お前に喜んでもらえるプレゼント、用意しといたで。倒せよ。」

あくまで希望的観測に基づいての台詞だ。

ひなは最後の玉を丁寧に銃口に押し込む。

俺には見向きもしないで目の前の小さなキャラメルの箱に焦点を合わせる。

引き金に指をかける。その指は俺には震えてるようにも見えた。

この緊張感は大倉の太鼓の時に匹敵する。

心臓が止まりそうな中、息さえも止めてひなは指に力を込めた。

かちんっと音をたてて押し出された玉は一直線になんの障害もなくキャラメルの箱へと向かっていく。

そして箱の右の端をコツンっと当てて奥へと消えた。

大きく俺の瞳孔が開く。

ひなが構えていた体制をゆっくりと崩した。

そして箱が動いていく様を凝視した。

いける!!

二人同時に心の中で叫んだ。

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