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花火の秘密

第2章 りんご飴の秘密

この暇な時間、どう過ごしたものかとなんとなく前に並んでいる二人の女性をぼんやりと見ていた。

「なんであいつなんよ。」

「なんやろうな…。」

「絶対たーくんの方がかっこええやん。」

「かっこいいとかちゃうやん。…たーくんは友達としてはええんやけど…。」

そう言えばなんで俺はあいつのことが好きなんやろ。

短気ですぐ怒るし、慣れたけど怒ったら怖いし、金に関してうるさいし。

よっぽどおっとりしていてのんびりしていて、何より綺麗な顔立ちの大倉の方が俺のタイプのはずなのに。

あまりにじろじろ見ていたので一人が気づき後ろを振り返られた。

俺はとっさに顔をそらした。

ストーカーなんて噂がたてば今までの努力がすべて流れ去っていく。

ふと顔を背けたその先に占い屋の看板が目に見えた。

「…色占い。」

数ある項目の中にあったひとつのワード。それが俺の目を掴んで離さなかった。

赤は情熱的な人が好む色。情熱的な人に注意なのは強引に物事を引っ張っていくことがあるため一人で突っ走りがち。

青は信頼の色。そして落ち着きをもたらす色。そのため人に頼られることが多くなる。特に紺色などの濃い青は頼りやすいという印象になるので仕事のときに身につけるべし。ただ、常につけていると頼られ過ぎて疲れやすくなりそう。ライトブルーは……

「頼られる…。」

そう言えば今日の浴衣の色は紺色だった。

いつも何があっても笑顔でしっかりと受け止めるその後ろ姿を俺は長年見てきた。

ぼんやりと答えが見えた気がする。

「…プレゼントはあれにしよう。」

いつの間にか空いていた前との隙間を俺はスキップで埋めた。

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