テキストサイズ

花火の秘密

第2章 りんご飴の秘密

「なんやねんなぁ。」

満足のいかないような様子のひなを連れて射的の屋台を離れた。

結果、二勝一敗で俺が勝った。

その負けた一回というのもゲームソフトの箱を倒した後俺は何も倒せなかったため一勝ということにした、ただそれだけだ。

「りんご飴、三つやな。」

「…二人で食べるには多いから一個減らさんか?」

「いらん。ルールはルールやもん。」

ひながお願いしてくることは結構いうこと聞いてたように思う。

だからこそ、今はあえて聞かないという選択をした。

確かに三つもあったって食べきれないのだが、断れば俺を言いくるめようと必死に話しかけてくる。

二人の時間がそれだけ伸びるわけだ。

「なんでやねんな。そんなんええやん?」

「そもそもひなが勝ったんかておまけやねんで。」

「それはお前が倒さんかったからやろ!」

「でもひな取れてへんもん。」

「わかった!んならあと四回!四回やって一回でも倒せたらなんかプレゼントしてや!!」

「……プレゼント?」

占い屋の隅に俺を連れ込んではにこやかに告げられる新ルールに頭がついていかなかった。

「なんでもいい。そのお菓子でもええし、りんご飴の代金でもいいし。」

まるで俺がひな自身になってしまったかのように読み取れた。

「ほんまは払うてほしいだけやろ。そこまで必死にならんでええやん。」

「な?ええやろ?」

こう言うときにこいつの無意識な愛らしさがムカつく。

「……ええよ。もう。」

「よっしゃ!!一回でも倒したらな!倒したらやで!!」

祭りの効果とはここまで絶大とは。

急上昇するテンションにつられる笑顔に俺の鼓動の高鳴りは休む事を忘れていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ