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寝取られ漂流記

第6章 16歳冬その2

あたしは俯いて雅章の顔を見ないようにする。今見てしまったら負けてしまいそうな気がした。


「ったく、散々待たせやがって。行くぞ」


雅章はあたしの腕を掴んで歩き出そうとする。


ここで振り切らなきゃまた逆戻りしちゃう。
そんなのやだ。


あたしは雅章に掴まれた腕を振りほどく。


「何してんだ?」


雅章の凄んだ声。


駄目、屈したら駄目。


「今からしたら、授業間に合わないよ。放課後にしよ?ね?」



あたしに出来る精一杯の抵抗。


拒絶すれば何をされるか分からない。
だからこうするしかなかった。


「放課後って俺部活だけど?」
「待ってるから。終わるまでちゃんと」


諦めて!!


あたしは心の中で叫ぶ。


「ったく、茜のくせに生意気なんだよ」


雅章はあたしに背を向けた。


良かった。とりあえず、放課後までは大丈夫。
放課後までになんとかしなきゃ。

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