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わすれない

第2章 それぞれの傷




ーーー彼氏……か。



看護師はたぶん、圭介のことをいっているんだろう。私は軽く首を振った。看護師はそう、とだけ答えた。



あの日、圭介がまた明日といった日から4日たった。
あれから一度もこない。最初は心配していたが、もともと助けてもらっただけの人。私からとやかく言える筋合いはない。



ーーきっと、面倒になったんだ。そうだよ、私みたいな面倒臭いガキなんかに会いに来るわけない……。



そう頭のなかで自分に言い聞かせたとき、ドアがノックされた。




看護師がはい と返事をした。
圭介が病院関係者以外、病室に入らないようにしてくれていた。



なのに、ドアがノックされた。看護師も私も首をかしげた。看護師はドアを開けようと歩き出したときドアが開いた。





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