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わすれない

第2章 それぞれの傷

俺の問いに美咲はまた顔を強張らせ震えだした。


よほど思い出したくないのか、目をぎゅっと瞑っている。

彼女をなにがこうさせるのか、今の俺にはわからなかった。



「わりぃ… また余計なこと言ったな。」




肩に負担がかからないように、震える美咲をぎゅっと抱きしめ頭を撫でた。


大丈夫だ。心配するな。

そう繰り返しながら何度も頭を撫でた。




美咲は瞑っていた目を開き、俺を見ていた。そして小さな声で

「ありがとう」


そう呟いた。

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