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わすれない

第2章 それぞれの傷


息がかかるかかからないかの距離で圭介は聞いてきた。


“何から逃げてるの?”


その言葉に美咲は胸が締め付けられた。
先程の男が脳裏に蘇る。


あの鋭く尖った冷たい目。何かを企んでいるとしか思えない口元。恐怖で動けなくなる声。



思い出しただけで身体が震えだし止まらなかった。

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