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わすれない

第2章 それぞれの傷

看護師が出ていったあと、圭介はまた謝ってきた。


私は圭介が悪いわけじゃないのに、謝ってほしいわけじゃないのに “大丈夫”としか言えなかった。


――どうして… なんでここがわかったの? なんで、いつまであたしに関わるの…。



頭の中でぐるぐるとまたるさっきの言葉。


“また来る”


その言葉がいつまでも消えなかった。



「‥‥さき みさき?大丈夫か?」



圭介に手を握られ、我にかえる。


「えっ… あっ なに?」

慌てて聞き直す。


圭介はジィーッと私を見つめて顔を近づけてきた。


「えっ? ちょっ! けぃ…んっ!!」


圭介と言おうとしたとき、口をやわらかいものでふさがれた。


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