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仮面な人たちの恋愛夢小説

第9章 愛が強さに?蜂蜜と指輪の思い出(鎧)

彼女の男性恐怖症の理由は二つ。
一つは父親。二つ目は路地裏での悲劇にあった──。

『でもそんなとき私を救ってくれたのは、妹が作ってくれた蜂蜜入りの紅茶だったんです。でも、その妹は事故に遭い、もうこの世にはいません…それから私は妹が作ってくれたその味を大切に、今も時々作ってるんです。‥それから、妹が残してくれたものが此処に。これを見せるのは貴方が初めてです』

そう言って取り出したのは小さな小さな巾着。
中には指輪が二つ入っていて、薔薇に象られたピンクダイアの指輪と、同じく薔薇に象られたルビーの指輪だった。

「指輪‥か」

『はい。それで…あの、お願いが有ります。指輪の片割れを持っていてくれませんか…?』

「何故だ…?」

『なんとなく、妹が貴方に持っていてほしいって言っている気がして…』

そういうと彼女はピンクダイアの指輪を右手の薬指に嵌めた。
それを見た戒斗は、いいだろう。っと一言いって巾着ごと預かることに…──

「預かってやる代わりに‥一度しか言わないから良く聞け。──何かあったらすぐに連絡しろ。他の誰でもない、この俺にな」

──語られた悲惨な過去。
そして交わされた約束。
この日を境に、戒斗と彼女の気持ちが大きく変わっていたのを、また二人を深く繋いだのは二つの薔薇の指輪だったことに二人は気付かないでいた。

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