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「──男が怖いか…？」

『‥‥どうして…それを…っ』

「答えろ。どうなんだ…」

──突然彼女を抱き締めた戒斗は仲間の言葉を頼りに彼女の本心を知った。
突然すぎることに混乱していたが、そんなことはつかの間に、内に秘めた想いが自然と涙となっていた。
彼女に対して戒斗は問いかけ、その問いに彼女は答えた。

『怖いです‥怖くて怖くてたまりません…ｯ！』

強く主張した彼女は、言葉とは裏腹に戒斗の中で小さく震えていた。
戒斗はただ、彼女を強く抱き締めた。

「あの時のことは悪かった‥だが俺は、ヤツと、葛葉紘汰と一緒にいたのは気に入らない…」

『‥‥ごめんなさい』

ポツポツと話す戒斗の背中は心なしか小さく見えて、何処か寂しげで小さな少年をも思わせた──

それからは彼女は、重い口を開いた。

『私…小さい時に酷い暴力を受けて、両親から離れたんです。でも逃げても逃げても何処までも追ってきて、ある時逃げ込んだ場所がゴロ付きの不良ばかりがたまっていた路地裏だったんです…─』