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『痛い…っ‥離して！』

バロンのアジト付近に来たところで戒斗の手を振り払った彼女。
二人はその場に立ち止まった。

「今までヤツと…葛葉紘汰と一緒だったのか‥何故だ…何故電話をしても出ない！ヤツといたのがそんなに良かったか…?!」

『彼のお姉さんが私の会社の人間で、広場にで動けずにいたところを助けてもらったんです。その時彼女の家に行って、そしたら彼に…』

「ヤツに家まで送らせたのは何故だ」

『それは彼の好意で…私を心配してくれてましたから』

「──そうかそうか。ヤツがな…気に食わんｯ…！」

壁に彼女を追い込む戒斗。
彼女は背中が壁だと知り、一瞬振り替えるも前に視線を見ると目の前には戒斗の姿があった。
険しく怒りの感情が見てとれる戒斗に彼女はこの上ない恐怖を感じた──次の瞬間だった。
戒斗の起こした行動が彼女の気持ちを、恐怖から別の感情へと変えていった…─。