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仮面な人たちの恋愛夢小説

第12章 咲く華、桜の如く(K)

不意に次狼の目頭に溢れ出るものがあって、それをすかさず拭う次狼を華桜は心配そうに見詰めていた。

『じろー泣いてるの?』

「泣いてねーよ。泣いてねぇー‥」

華桜の頭を乱暴に撫でて誤魔化す次狼に華桜は抱き着いて離さなかった。

「産まれてきてくれてありがとうな」

『うんっ!じろーもね♪』

自身にニッコリと微笑む華桜に、次狼はある想いを抱く。
次狼は華桜を、その微笑みごと全部守りたいと…。

「そうだ‥ちょっと待ってろ」

そう言った次狼が自室に姿を消したかと思うとすぐに戻って、次狼の手には見慣れない指輪が一つ握られていた。
指輪の中心は紅い宝石で出来ており、不自然に欠けていた。

『これどうしたの?』

「お守りだ」

おまもり?と聞き返す華桜に次狼は、きっとお前を守ってくれると言って華奢なその指にそっと嵌めた。
嵌めた指は、左手の薬指だった。

「次狼‥」

「俺は本気だ」

ラモンはそっかと言って頷く。
彼は次狼の気持ちを理解したようだ。そして、指輪の意味も──

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