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仮面な人たちの恋愛夢小説

第12章 咲く華、桜の如く(K)

『じろー、いたいのなくなった』

「そうか。何でさっきは痛かったんだ?」

『バイオリンのおもい、かおにつたわってきた。最初あったかい、でもくるしい‥』

そっかそっかと華桜の頭を撫でるラモンを次狼は隣で見て、同時に渡の父・紅音也のことを思い出していた。
音也はブラッディーローズを作った本人。
次狼は少し懐かしい様な、そう遠い昔じゃなかったような、そんな目をしていた。

『じろー?』

「ん?あぁ、なんでもない」

「おい」

次狼たちの背後から現れたのは力(リキ)。
力も“フランケン族”の最後の生き残りだ。
力は見慣れない客人に首を傾げた。

「力か。コイツは華桜っていうんだ。まぁ仲良くしてやってくれ」

「分かった」

力が華桜に触れようとしたとき、突然華桜が力に抱き着いた。華桜は力を気に入ったようだ。

「華桜、元気だ」

『りきは元気?』

「俺、元気」

力の答えに華桜は嬉しそうにしていた。
それからすっかり三人になついた華桜。普通の人間なら三人を少しは怖がったりするものだが、華桜の場合はそれが全くなかった。
まるで三人の素性を分かっているかのように──

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