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仮面な人たちの恋愛夢小説

第12章 咲く華、桜の如く(K)

「宜しくね華桜ちゃん」

『うんっ!あっ、わたるいい匂いするね』

「匂い?どんな?」

『優しい匂いだよ』

ニッコリ微笑む華桜。
そこへ何やらバサバサと喋るコウモリがやってきた。

「渡ー、調子は‥って!?」

『こうもりだぁ!』

「キバット、タイミング悪いよ…」

「悪い渡‥次狼はその子を連れて何してるんだ?」

「散歩だ。コイツにお前たちに会わせたかったんだ」

「僕たちを?」

「ああ。コイツとは妙に波長が合ってな。さっきいつもの店にいた時、俺しか感じられないであろう匂いをコイツは感じていた。その理由がここにくれば分かるんじゃないかと思ってな」

『こうもりっ!』

「だから俺はキバットだーっ!」

キバットとじゃれあっていた華桜の動きがピタリと止まる。
視線の先には綺麗に保存されショーケースに立て掛けられている一つの黒いバイオリンがあった。

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