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願わくば、いつまでもこのままで

第8章 変化




俺は佐倉田が住むアパートと隣の比奈ちゃんと兄貴が住むマンションを見比べた。




やっぱり……いやな予感がする


これはさっさと帰ったほうがよさそうだな





「じゃ、さいなら」




軽く手を振りUターンするが、甘ったるい声が俺の背中にまとわりつき、奴の腕が俺の腕を思いきり引っ張って歩みを止めた。




「いーやっ!まだ陽くんは帰っちゃだめ!!
ねっお話したいことがあるから、家でお茶でもどう?」





派手な付けまつ毛を武器に上目遣いするその目を容赦無く睨む。






「だーれがストーカー女の家で茶なんかするかよ!!帰る!」






強引に手を振りほどき、2.、3歩進んで振り向いた。

急に佐倉田が静かになったからだ。


佐倉田は俯いているため、その表情はよく分からないが俺には一瞬禍々しいオーラのようなものが見えた気がした。





「……だれが、ストーカー女だって…?」




「ひっ……」





ゆっくり出てきた佐倉田の声は毒々しいとも言えるような恐ろしいもの。



俺は恐怖でとっさにまた数歩下がったが、佐倉田は早足で俯いたまま俺に近寄ると胸ぐらを掴んできて顔を寄せた。






「てめえ答えろよ、誰がストーカーだって聞いてんだよこの野郎。分かってんのか?ぁあ!?」






この女、本性出しやがった……







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