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願わくば、いつまでもこのままで

第5章 市民プール

食事も終わり

皆で思いきり遊び始めた。




と言っても、
園田さんはやっぱり私に近づかない。

でも彼女が努力して4人で遊んでくれているのは感じられる。





園田さんは見た目以上にけっこう可愛い人だと私は思った。








私も今では専業主婦。

学生の子なんかよりも、おばさんで体力も無い。



楽しいけど、やっぱり疲れてしまう。







…でも



来て、よかったかな……




「比奈ちゃーん」



顔をあげると
耳に手をあてながら陽君が私の側に来ていた。


シートの上で休んでいた私の隣に座った。





「……陽君も、疲れちゃった?」



「いや、まあ適度に水分補給をと思ってね」



そう言って
陽君は置いておいたペットボトルを手に取った。






…ゴク…ゴク……



日光が反射して
陽君の髪や身体に滴る水がキラキラと輝く。






陽君って





イケメン……なのかな








ボトルに口をつけた陽君の傾いた横顔を

ぼんやりと眺めてた。





と思ったら



その瞳が動き、私を捉えた。






あ、今私…





自分の鼓動を……感じた








陽君はボトルの口を蓋で閉め、置く。


その間も瞳は私を捉えたまま……



顔をよせた。





惹かれるように私も陽君を見上げる。










周りの音が遠ざかっていく。







だんだんと



顔の距離が縮まる。













あとほんの少し












「比奈ちゃん……

















…………かき氷、食べる?」








「……え?」





「ごめん。俺買ってくるよ」








陽君はいち早く顔をそむけると


走って行ってしまった。




独り残った私は我に気づく。
















私、今………?






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