
刑事とJK
第97章 根城の裏で笑う者
「ゴホン、えー…」
いつもの朗らかな表情は完全に消し去ってしまった刑事課室長の中島が、中央にまで足を進める。
「皆知っての通り…残念なことだが、この刑事課内で殺人が起きた」
!!?
顔を歪めながらも、誰ひとりとして口には出さない。
今は一人の刑事として、この場にいるのだから。
「今回のような忌々しき事態、全体をあげて捜査したいのは無論。
…だが、我々には他の仕事も山ほど残っている」
中島はコツコツと床を鳴らしながら歩く。
「そこで、今回の事件に関しては、斉藤君に受け持ってもらおうと思う」
「え」
ここでもまた、誰も声をあげなかった。
ただし不満そうな人間はちらちらと見られる。
「斉藤君が何かあるときは、他のみんなは快く協力してあげてくれ。
以上、持ち場に戻るように」
バラバラと解散して行く中、斉藤は中島のもとに進んだ。
「中島さん」
「やあ斉藤君、今日は寝坊かい?」
「いや、コンビニの冷房がよく効いてたんで涼んでいたら…
じゃなくて、そんな重大な事件、オレなんかが受け持っていいんすか!?」
「何だい、不満かい?」
中島の上からの睨みは、どこか重々しい威圧感があった。
「不満なんて…ないっす。
でも…」
「君のその捜査に関する能力ってのは…正直、他の刑事よりも秀でている。
自信、持ちなさいよ」
「…」
こう言われちゃ何も言えない。
斉藤はとりあえず頷いておいた。
