
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
むろん、彼女が他の妻妾に比べて美しさも聡明さも劣るとは思わない。白皙の膚にはきらびやかで華やかなチマチョゴリはさぞ映えるだろうし、艶やかな長い髪も結い上げて幾つもの宝玉をあしらえば、見違えるように垢抜けて美しくなろう。
留花は賢い娘だから、熟練した尚宮を教育係としてつけてやれば、後宮内でのしきたりや立ち居振る舞いといったものもすぐに憶えるに違いない。
それでもなお世子が留花を敢えて後宮に召し上げなかったのは、やはり、留花の幸せを思ってのことだ。何より、彼自身が真の幸せは宮殿での豪奢な生活ではなく、市井で留花と過ごすささやかな日々の中にある―と気付いたのではないか。その彼が市井で育った留花を王宮という豪奢な鳥籠に閉じ込めて自由を奪ってしまうのは実に本末転倒といえた。
留花は賢い娘だから、熟練した尚宮を教育係としてつけてやれば、後宮内でのしきたりや立ち居振る舞いといったものもすぐに憶えるに違いない。
それでもなお世子が留花を敢えて後宮に召し上げなかったのは、やはり、留花の幸せを思ってのことだ。何より、彼自身が真の幸せは宮殿での豪奢な生活ではなく、市井で留花と過ごすささやかな日々の中にある―と気付いたのではないか。その彼が市井で育った留花を王宮という豪奢な鳥籠に閉じ込めて自由を奪ってしまうのは実に本末転倒といえた。
