
手紙~天国のあなたへ~
第6章 別離
「ただし、古道具屋に売るときには必ず誰か別の者、第三者を介して、品の出所が判らぬようにしなくてはならない。この玉牌を売ったのがそなただと知れれば、そなたはそこでまた生命を狙われることになる」
愃の言葉が遠く聞こえる。
玉牌とは、身分を表す飾りで、いわば身分証明書のようなものだ。龍の意匠の玉牌を持てるのは、朝鮮国王の血筋に連なる王族に限られている。
やはり、祖母の預言は正しかったのだ。留花は哀しい想いでその涼やかな色合いの玉牌を見つめた。
「形見だなんて、まるで今にも死んでしまう人のようではありませんか。そんな哀しいことをおっしゃらないで下さい。私は到底、聞いてはいられません」
留花は立っていられず、その場に泣き崩れた。愃が片膝をつき、脇からその身体を抱き止める。
愃の言葉が遠く聞こえる。
玉牌とは、身分を表す飾りで、いわば身分証明書のようなものだ。龍の意匠の玉牌を持てるのは、朝鮮国王の血筋に連なる王族に限られている。
やはり、祖母の預言は正しかったのだ。留花は哀しい想いでその涼やかな色合いの玉牌を見つめた。
「形見だなんて、まるで今にも死んでしまう人のようではありませんか。そんな哀しいことをおっしゃらないで下さい。私は到底、聞いてはいられません」
留花は立っていられず、その場に泣き崩れた。愃が片膝をつき、脇からその身体を抱き止める。
