
手紙~天国のあなたへ~
第5章 夫婦
留花は言葉を失い、黙り込んだ。
二歳といえば、まだ漸く襁褓が取れたか取れない頑是ない頃ではないか。その赤ン坊とも言ってよい歳に母親と引き離され、守役や乳母の手に委ねられたとは。
それが王族のならいなのかもしれないが、果たして、母親から離され他人の手によって育てられた子が理想的な成長を遂げられるだろろうか? 精神的な安定をより保てるだろうか?
しかも、愃の話によれば、愃の父は母親が訪ねてゆくことも歓ばなかったようだ。たまに母親が来ても、親子らしい触れ合いも許されず、膝枕をするのさえ、父の眼を盗んでいた。
この時、留花は自分の予測が的中していたことをはっきりと知った。愃の深い孤独の原因は、彼の生い立ち、更には父親への葛藤にある。
二歳といえば、まだ漸く襁褓が取れたか取れない頑是ない頃ではないか。その赤ン坊とも言ってよい歳に母親と引き離され、守役や乳母の手に委ねられたとは。
それが王族のならいなのかもしれないが、果たして、母親から離され他人の手によって育てられた子が理想的な成長を遂げられるだろろうか? 精神的な安定をより保てるだろうか?
しかも、愃の話によれば、愃の父は母親が訪ねてゆくことも歓ばなかったようだ。たまに母親が来ても、親子らしい触れ合いも許されず、膝枕をするのさえ、父の眼を盗んでいた。
この時、留花は自分の予測が的中していたことをはっきりと知った。愃の深い孤独の原因は、彼の生い立ち、更には父親への葛藤にある。
