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手紙~天国のあなたへ~

第5章 夫婦

「女の身でこのようなことを申し上げるべきではないのかもしれませんが、私は旦那さまのお考えは間違ってはいないと思います。畑を耕し、物を作る民がいなくなったとしたら、この国の土台を支えるものがなくなってしまいます。土台を失った国は根底から揺らぎます。最早、両班だ何だと偉そうにしている場合ではなくなるでしょう」
「そうだ、そのとおりだ。留花、私は国で最も敬われ大切にされるべきなのは実は国王でもなく両班でもなく、国を形作る民衆だと考えているんだ」
 愃が突然、身を起こすと、留花の膝に頭を乗せた。

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