
手紙~天国のあなたへ~
第5章 夫婦
いずれにしても、本当の愃は極めて明朗闊達な人物だ。留花を相手にしてもよくふざけたり、罪のない悪戯を仕掛けてきたりするのは、しょっちゅうだ。
愃の悪戯にまともに付き合っていてはキリがない。留花は気を取り直すと、微笑んだ。
「このような上等なお茶が私たち庶民の口に入ることなどあり得ません。お婆ちゃんにもひと口で良いから、食べさせて上げたかった」
その言葉に、愃がハッとしたような表情をした。
「旦那さま、何かお気に障ることを言いましたか?」
そのとき以降、愃が急に黙り込んでしまい、留花は不安になった。チゲを食べるのも止めて何か考え込んでいるような風情だ。
結局、その日の夕食はそこで終わりになった。後片付けを手早く済ませ、前掛けで手を拭きながら居間に戻ってきた時、愃は手枕をして横になっていた。
愃の悪戯にまともに付き合っていてはキリがない。留花は気を取り直すと、微笑んだ。
「このような上等なお茶が私たち庶民の口に入ることなどあり得ません。お婆ちゃんにもひと口で良いから、食べさせて上げたかった」
その言葉に、愃がハッとしたような表情をした。
「旦那さま、何かお気に障ることを言いましたか?」
そのとき以降、愃が急に黙り込んでしまい、留花は不安になった。チゲを食べるのも止めて何か考え込んでいるような風情だ。
結局、その日の夕食はそこで終わりになった。後片付けを手早く済ませ、前掛けで手を拭きながら居間に戻ってきた時、愃は手枕をして横になっていた。
