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BL~中編・長編集~

第21章 ~番外編②~

「お待たせー。」

「お帰り。 ありがとう。」

「…………」

今の俺は…潤にとっては重いだけだ。

幸せに浸り過ぎて…感覚がマヒしてる。

「はい、お茶。」

「……あぁ…うん…ありがとう。」

わかってない。

今、潤と一緒にいられることの幸せが…

「…豊?」

「…………」

もしかしたら…潤は…

「どうした?」

「……戻るなら、今だぞ?」

「え?」

俺の言葉に首を傾げた潤。

それは、他のみんなも同じだった。

「戻る…って…」

「…今なら、元に戻れる。 俺との事も…なかったことにできる。

昔みたいに…あの人と一緒にいられる。」

「あの人…?」

雨宮のことなんかじゃない。

俺が言ってるのは…

「さっきの人。」

「!!?」

雪と…潤に、さっきそう呼ばれた人のこと。

「俺は…必ず、潤の重荷になる。 縛りつけて、身動きが取れない状況まで追い詰める。

そうなる前に、俺から離れた方がいい。

今なら…大学進学前の今なら、元の人生に戻れる。」

「豊? なに言ってるの?」

俺は…潤に幸せになってもらいたい。

だから…

「こんなに汚れてる俺を、綺麗だって…愛してるって言ってくれてありがとう。

この半年の思い出があれば、俺は生きていけるから。

だから…」

今しかない。

ここで断られたら…もう、潤から離れられなくなるから。

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