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BL~中編・長編集~

第21章 ~番外編②~

「俺…絶対耐えられない…」

「はぁ…昔は、こんなことなかったのに。」

「!!」

昔…

「昔って…瑞城と付き合い始めたのは最近だろ? まだ半年くらいしか経ってないじゃないか。」

違う。

潤が言ってるのは、俺とのことじゃない。

「ちょっと、海斗!!」

「あ、悪い…」

それをわかっているのだろう。

近藤が松下を止めに入った。

「お待たせしましたー。」

「ぇ…」

でも、違うんだ。

近藤や松下は、潤が雨宮のことを言っていると思ったはず。

「雪…?」

「え?」

「!!」

驚きを隠せない様子の潤。

「どうして僕の名前を? どこかでお会いしましたっけ?」

「あ、いや…」

「……」

それはそうだ。

彼は…

「すみませーん。」

「あ、はい!! 少々お待ち下さい。」

他の客に呼ばれた彼は、俺達に頭を下げると、そちらに行ってしまった。

「知ってる人?」

「………いや……」

近藤にそう聞かれた潤は、おもむろに立ち上がった。

「飲み物取ってくる。 豊は?」

「………お茶。」

「俺も行く。」

「僕も。」

潤に続いて、松下と風間が立ち上がる。

そして、店の入り口に近いドリンクバーに、飲み物を取りに向かった。

「豊…さっきのことは…」

「いいよ。 わかってるから。」

俺…欲張りになり過ぎてる。

以前なら…半年前なら、こんなことがあっても、嬉しいだけだったのに…

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