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BL~中編・長編集~

第21章 ~番外編②~

「俺から離れるなら今だぞ?」

今…本当に、この瞬間だけ。

俺自身を拒絶する言葉が聞けたら、俺は潤を開放してやれる。

「豊…それ、本気で言ってるのか?」

「………」

潤の言葉に、黙って頷いた。

「『幸せになれよ。』そう言っただろ?
俺は、潤の幸せを壊したくない。」

もし、潤が俺と離れることを望むなら、俺は…

「ねぇ…さっきから、なんの話してるの? 全然わからな…」

「お待たせしましたー。」

近藤が戸惑い気味に口を開いた時、ちょうど雪さんが注文した料理を運んできた。

「山盛りポテトで…」

「!?」

「「!!」」

雪さんの言葉が終わらない内に、目の前に座っている潤に胸ぐらを掴まれ、すごい勢いで引っ張られた。

「んんっ!?」

なっ…こんな、人が多い場所で…

「ちょ、じゅ…んっ!!」

しかも、雪さんの前でなんて…

「…っにすんだよ!!」

「わかった?」

「は?」

ようやく離れたと思ったら、謎の質問。

「俺、豊を手離す気はないよ。 やっと…豊を手に入れるのに、45年も待ったんだから。」

「「45年?」」

雪さんの前でキスして…自分の気持ちが嘘偽りのないものだと証明してくれたのか?

「ね? わかった?」

「…っ…うん…」

嬉しいと同時に、急に恥ずかしくなってきた。

ファミレスでこんな…

「変なもの見せてしまってすみませんね。」

「……いいえ。」

潤がそう言って謝れば、雪さんは嬉しそうな…ほっとしたような笑顔を浮かべた。

「幸せそうでよかった。」

「え?」

この言葉に潤が首を傾げたのは、言うまでもないだろ?

「じゃあ、失礼します!!」

「ぁっ…」

彼も幸せそうでよかった。

ずっと…気になっていたから…

「………なんか……」

「ん?」

そういえば…近藤達を放っておいたままだったな。

「なにがどうなってんの?」

「さあ?」

「ははは。」

本当のことを話しても、きっと信じないだろう。

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