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BL~中編・長編集~

第18章 バラ園

~智宏SIDE~
「祐…」

あの時…祐が口にした名前…

『いっ…やだぁ……まこ…と……さんっ!!』

━━真さん。

確かに祐はそう言った。

「俺じゃ…ダメなのか…」

結構…本気だったのにな…

俺は一人静かに涙を流した。

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あれからどのくらい時間が経ったのだろう…

気がつけば、辺りは薄暗くなっていて、冷たい雨が降り出していた。

「…帰らないと…な…」

ゆっくりと立ち上がり、帰路につく。
電車に乗らずに歩いて帰る事にした。

考えたい事がたくさんあった。

まず、今一番気になるのは…

「智…」

なんで、あんなこと…
智は俺の事を好きだと言った。
俺はその気持ちに応えられなくて…

明後日からまた大学で講義がある。
どんな顔して会えばいいのかわからない。

次に気になるのは、智が言った言葉。

『お前が好きなのは…俺じゃないんだな…』

俺が好きなのは智じゃない…
じゃあ、俺は誰が好きなんだ?
…誰か…教えてほしい…

最後に気になるのが、何故智にはあんなに抵抗したのかという事…

真さんの時はほとんど抵抗なんかしなかった。

なんで…?

智の時はあんなに嫌だったのに真さんの時は全然嫌じゃなかったから?

なんで、嫌じゃなかったんだ?

…もう、わからない…


そんな事をぐるぐる考えているうちに家に着いた。

部屋に直行し、ベッドに倒れ込む。

そして、目が覚めた時は、もう朝だった。

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