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BL~中編・長編集~

第18章 バラ園

なんで、俺が緊張しなくてはいけないのだろうか?

第一、今日は課題をやりに来ただけのはずな…

「お前が好きだからだよ。」

俺の思考を遮って智が言葉を発した。

突然の事に思考が停止する。

「……ぇ…?」

「だから、お前が好きなんだって。」

智はもう一度、そう繰り返した。

智の言葉が頭の中でこだまする。

『お前が好きなんだって。 お前が好きなんだって。』

俺が好き…?

ようやく状況が呑み込めた。

「えーっと…それは…友達として…?」

「いいや。 恋愛感情で…だよ。」

そう言って、俺向かって手を伸ばしてくる。

その手は俺の頬に、優しく触れてきた。

「智…?」

「祐…好きだ…」

智がそう呟くと同時に、智の整った顔がゆっくりと近づいてきた。

「ちょっ!! 智…やめっ…」

気付いた時にはもう遅かった。

俺が逃げようとした時には、既に唇に柔らかいものが当たっていた。

「んっ!? ちょっ、や…」

嫌がる俺を無視して、智は俺をその場に押し倒してきた。

「智っ…やめ…んっ…」

抵抗しようとすると、智に両手を押さえ込まれ、身動きが取れなくなってしまった。

「智っ…くるし…」

俺が息を吸おうと口を開けた瞬間、智の舌が口内に侵入してくる。

「んん!? ふっ…あ…」

智は片方の手を離すとシャツの中に手を入れてきた。

「いっ…やだ…やめて…」

視界がだんだんぼやけていく。
それが、泣いているせいだと気付くのに、随分時間がかかった。

「智っ…いやだぁ…」

俺が泣こうが喚こうが、智は一向に止めてくれない。

「いっ…やだぁ………とっ…………っ!!」

その時、智の動きがぴたりと止まった。

恐る恐る智を見ると、智は泣きそうな顔をしていた。

「とっ…も…?」

「お前が好きなやつは…俺じゃないんだな…」

智はそう言うと、俺から離れた。

「ごめん…帰ってくれる?」

「と…」

「早く!!」

智に怒鳴られ、俺は慌てて部屋から逃げ出した。

智の家から飛び出して、しばらく走ると公園があったので、ベンチに座って体を休める。

智━…

(俺達、もう友達には戻れないのかよ…)


「智…」

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