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BL~中編・長編集~

第18章 バラ園

「おじゃまします。」

「どうぞ。」

次の日、俺は智の家に遊びに来ていた。

遊ぶというよりも、大学の課題を片付けに来たと言った方が正しいような気がするが…

まあ、そんな嫌な事は気にせず、智の部屋に上がる。

「なんだ、結構綺麗に片付いてるじゃん。」

「当たり前だろ?」

智は苦笑しながらそう言った。

「…っていうか、お前…この部屋あんまり使ってないだけだろ?」

「…バレた…?」

智は笑って俺の言葉を受け流した。

言ってなかったが、智は大学一のイケメンであり、女遊びで有名だ。

「どうせ、毎日別の女のとこにでも泊まってるんだろ?」

「ははは…まあ、そんな事より、早く課題やろうぜ。」

またしても俺の言葉を軽く受け流すと、クッションを持ち出してきた。

黙ってクッションに座ると、智がお茶を差し出してきた。

「ありがとう。」

「いいって。 それより、早くこれ片付けようぜ。」

智は嫌そうに課題を取り出しながらそう言った。

俺は無言で頷くと、二人で課題に取りかかった。



「なあ、祐…」

「なんだよ? わかんないとこでもあんのか?」

黙々と課題をやる事30分…

智が話し掛けてきたので顔を上げると、智は真っ直ぐ俺を見ていた。

「な、なんだよ?」

少々戸惑いながら返事をすると、智はにっこり笑った。

「いや、かわいいなーと思ってさ。」

「はぁ!?」

突然の事に思わず声を上げる。

そんな俺の反応を智は楽しそうに見ているだけだった。

「な、なに言って…」

「俺さ~」

驚く俺の言葉を遮って、智が話し始めた。

「女遊びしまくってんじゃん?」

「え? うん。」

突然の質問に驚きながらも、頷く。

素直に頷いた俺を見て少し傷ついたのか、智はいつもみたいに渇いた声で笑った。

「即答すんなよ…まあ、いいや。 そんでさ、俺元々こんな性格じゃなかった訳よ。 俺がこんな性格になったのはさ、お前に会ってからなんだよね。」

「は? 俺?」

俺の言葉に智は頷いた。

「そう。 お前。」

「なんで俺?」

俺が尋ねると、智は肩をすくめた。

「さあ? でさ…お前が悩んでた一週間、俺もお前の事考えてた。 …で、答えに行き着いた訳。」

少し緊張しながら、智が続きを話すのを待つ。

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