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BL~中編・長編集~

第16章 ~Riproduzione~

屋上に人が入ってきたことに驚き、慌てて顔を離す。

「じゅ・・・」

「雨宮・・・」

屋上に入ってきたのは、雨宮。

雨宮は俺と豊の姿を見るなり、固まった。

「あ、雨宮・・・・」

「先輩・・・」

豊は、雨宮の急な登場に驚き、どうしていいのかわからないようだ。

「潤・・・なんで・・・」

「好きだから。」

雨宮の問いに、迷わず答えた。

「豊を愛してるからだよ。」

俺の言葉が信じられないのかなんなのか、雨宮はなにも言わず、顔を伏せてしまった。

俺は豊を支えながら、ゆっくりと立ち上がった。

「・・・して・・・」

「?」

勢いよく顔を上げた雨宮は・・・・涙を流していた。

「どうして!!? どうして、僕よりその人なのっ!?」

昔・・・同じような光景を見たことがあるような気がする。

俺が、生徒会室でこいつの話を聞いた後の光景とそっくりだ。

「僕の方が可愛いし、それにっ・・・僕の方が、潤のこと好きなのにっ!!!」

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