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BL~中編・長編集~

第16章 ~Riproduzione~

「俺を置いて行かないでくれ。」

その体はひどくやせ細り、力を籠めれば簡単に折れてしまいそうだった。

「・・・っ・・・だろ・・」

「え?」

抱きしめる俺の手を、豊は弱弱しく掴んできた。

「・・ずるい・・・だろっ・・・そんなこと言われたら、置いていけないじゃん・・・」

「豊・・・・」

「ぅわ!?」

豊を抱き上げ、とりあえず安全な場所に降ろした。

「じゅ・・・・」

「好きだよ。」

今度は、豊の目を見ながらはっきりとそう言った。

「っ・・・お、前・・・」

「ん?」

まだ、豊の体は震えている。

「いい・・・のか? 俺なんて、なんの取り得もないぞ? それに・・・」

豊は、悲しそうに唇を噛み締めた。

「俺は・・・・汚れてる。 いろんな・・・知らない男に抱かれて・・・」

「豊・・・・」

不安そうな豊の声。

その不安を少しでも取り除けるように、豊を強く抱きしめた。

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