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BL~中編・長編集~

第16章 ~Riproduzione~

泣きそうな豊の顔。

見ているだけで、胸が締め付けられるように苦しくなる。

「・・・豊、どうしても死ぬのか?」

「っ・・・俺は、もう・・・・限界なんだよっ・・・」

そうだろうな・・・豊は俺を守るために、自分を犠牲にしてきたんだから。

「・・・・・わかった。 それなら、俺も一緒に逝くよ。」

「ぇ・・・?」

豊と一緒にいられるなら、どこだってかまわない。

「二人で逝こう。 そうすれば、なにも怖くないだろ?」

「なっ・・・」

豊の人生を奪ってしまうことになるけど。

「ば、馬鹿じゃないのか!?」

「本気だよ。」

俺の言葉を聞いても、豊はまだ信じられないようだ。

「でも、お前っ・・・・雨宮が・・・」

「あいつとは別れる。 だって・・・・・」

だって、俺は・・・・

「豊を愛してるから。」

「・・・っ・・・・」

豊の傍に行き、後ろから抱きしめた。

わずかに震えている体。

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