テキストサイズ

BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

「・・・・」

家に着いても、一馬と俺の間に会話はなかった。

「奏多・・・こっち。」

「・・・うん。」

リビングに入り、ソファに腰かけた一馬は俺に隣に座るよう促した。

俺は少し距離を置いて、一馬の隣に腰かけた。

「一馬・・・俺・・・怖かったんだ。」

「なにが?」

一馬は隣に座っている俺の顔を覗き込んできた。

「・・・・一馬に嫌われるのが。」

「俺に?」

俺の言葉に、一馬は驚いたようだ。

「本当は、一馬に合コンとか行ってほしくなかった。 でも・・・行くななんて言ったら、一馬に嫌われるんじゃないかって・・・・」

俺にとって、一馬は全てだった。

だから俺は・・・・

「一馬がキスマークつけて帰ってきたあの日、目の前のことが信じられなくて・・・頭が混乱して、なにを言えばいいのかわからなかった。」

一馬になにも言わなかった。

「でも、そのせいで一馬のことを不安にさせてたなんて・・・・ごめんな?」

「奏多・・・」

俺が謝ると、一馬は悲しそうな顔をした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ